南町田まちづくり通信

「鶴間公園の明日を考えるワークショップ」 第4回「木と遊びのワークショップ」を開催しました

朝から降っていた雨が一転、きれいに晴れ渡った10月9日、「鶴間公園の明日を考えるワークショップ」の第4回「木と遊びのワークショップ」が開催されました。今回は木のおもちゃで実際に遊ぶスペースをつくろうと、鶴間小学校の体育館をお借りして開催しました。

会場の前方が大人のためのワーク・スペース。そして後方には、ダンボールを使ったシートが張られ、東京おもちゃ美術館からご提供いただいた積み木やパズル、楽器などたくさんの木のおもちゃが用意されました。大人がレクチャーを聞いたりディスカッションをしている間、子どもたちは自由に遊べるようになっています。レクチャーの間も、子どもたちの楽しそうな笑い声が飛交うとっても賑やかな空間となっていました。

木がもつ可能性と楽しみを知る

まず初めに、東京大学生産技術研究所教授・腰原幹雄さんから「木と遊ぶ:大人編」と題して、都市木造についてのお話がありました。都市で建物を建築する場合、その時代の生活スタイルや社会システムに適応させることで木造建築も十分可能になること、内装のみなど、部分的な利用も考えると幅が広がることなど、様々な都市木造についてのお話がありました。「もちろん、今回のプロジェクトも例外ではないと思います」と腰原さん。

また、よりよい建材となる木を育てること、森の環境を守るという意味でも、一定量の間伐をするのは大切だというお話や、いくら自然素材が魅力でも、長きに渡って利用する建材などはきちんと塗装を施さないと消耗して長持ちしないなど、知っているようで知らなかった木や森の知識をいろいろと教えていただきました。

「木は変化します。その変化を楽しめれば、木はとっても遊べます。でもその分、手がかかって面倒です。大人の木遊びは、この面倒なことを楽しもうと思えるかどうかです」

次に、東京おもちゃ美術館館長・多田千尋さんから「木を楽しみ、木で遊ぶ生涯木育」と題して、新宿の廃校を改修してリニューアルオープンした東京おもちゃ美術館の活動について、また、木育の可能性についてお話がありました。廃校になる小学校を良い形で残したいという住民の積極的な誘致により現在の地に移転した東京おもちゃ美術館。住民たちは小学校を残したいという思いの元、当事者意識をもって積極的に、おもちゃ美術館の活動に協力してくれています。東京おもちゃ美術館の取り組みには、まちづくりのヒントがたくさんありました。

「心が動けば体が動く。まちづくりをするためには、ストーリーが必要です。では、心を動かすためのストーリーとは?」

そんな問いかけで、お話は終わりました。

白熱したグループワーク

休憩を挟んでの第2部は、グループワークの時間です。今回のグループワークのテーマは「融合ゾーンについて語ろう」。前回のワークショップで発表された公園のデザインレビューを受けて、意見や質問が集中した「融合ゾーン」について「気になったこと」は緑の付箋に、「ここでしたい遊び」は黄色の付箋に書いてもらい、それを元に意見交換をしました。ワークスペースの中央には、200分の1サイズのやや大きめの融合ゾーンの模型が用意され、将来の融合ゾーンのすがたを立体的に見ることができるようになっていました。模型で実際のイメージを見ることで、疑問や不安、そしてアイデアもどんどん湧いていきます。その後、各グループで話し合った内容を発表してもらいました。

【Aグループ】
利用目的を限定しないゾーンを残してほしい
単なるハコモノじゃない文化的活動拠点の使い方を考えてほしい
歩道は自転車の乗り入れができるのかどうか
水場・トイレをもっと確保したい
融合ゾーンをマルシェやビアガーデンなど、イベント会場として使いたい

【Bグループ】
多田さんのお話にもあった「心が動くストーリー」というのが未だにわからない
木を伐採するのであれば、その木でウッドデッキをつくってほしい
DIYができるような施設がほしい
斜面を生かして芝ゲレンデをつくる

【Cグループ】
住民感情として木が伐られてしまうことは大きい。有効な使い道や移植などを検討してほしい
文化的活動拠点は景観から浮かない建物にしてほしい
今のプランだと自転車使っている人にとっては不便になるような気がする

【Dグループ】
スポーツだけじゃなく芸術も取り入れては? トリエンナーレみたいなことをやりたい
木を使った遊具がほしい
里山あそびができる日本一のプレイパークに
文化的活動拠点はぜひ木を使った建物にしてほしい

【Eグループ】
樹木が多く鬱蒼としているので、整備をして、もう少し光を取り入れたい
雨の日や日差しの強い日でも子どもが遊べるスペースや食事ができるスペースがほしい
遊んだあとにお昼寝ができるスペースもあったら最高
子どもが安全に歩ける道路にしてほしい

傍観者ではなく、当事者になる

最後に、ゲスト講師のおふたりに、発表を聞いての感想を伺いました。

腰原さん「僕はこういうワークショップに出ることが多いのですが、リーダーだけじゃなくて、いろいろな人が喋っていたのがすばらしいなと思いました。ただ1点気になったのは、自分のこととして捉えられているのかどうかです。傍観者じゃなく、当事者にならないといけません。木でやりましょうって言ったら自分たちでメンテナンスをやる覚悟が持てるかどうか、それが大事です」

多田さん「おもちゃ美術館の話ですが、新宿区が偉かったなと思うのは、住民が校舎を壊すなと話をしに行ったときに、ボールを投げ返したことです。「あなたたちの思いはよくわかった、ただ、そこまで残したいと言うのならば、利活用まで一緒に知恵を絞っていただきたい」と。そしたらね、住民は直ちに住民協議会を作りました。2年間の期間に100回の会合を開き、30箇所の廃校の下見に行きました。そして、自分たちにとっての「あるべき廃校利用の姿」というものを描いて新宿区にプレゼンしたんです。そのときに出した結論は、かつての子どもたちの笑い声を取り戻したいということ。それでおもちゃ美術館に全面移転してほしいという話になったわけです。ですから私は、こうしてほしい、ああしてほしいと言うのはファーストステップで、セカンドステップは、グランドデザインされたところで「私たちはこんなことができますよ」って言えるかどうかだと思います。南町田でも、どんなコンテンツが生まれてくるのか、それをとっても楽しみにしています。」

当事者になるということ。わかっていてもなかなか難しいことですが、おふたりのコメントを聞いて、みなさんハッとした表情をされていたのが印象的でした。今後たくさんの人が、自分ごととして公園の未来を考えていくようになったとき、鶴間公園はますます魅力的な空間になる…、そう思ってとてもワクワクさせられた1日でした。

参加者の感想

M.Kさん/ 30代・女性
初めて参加しました。講師のおふたりのお話がとても面白くて、ぜひアイデアを計画に取り入れてもらいたいなと思いました。グループワークでは、もっと否定的な意見も出てくるかと思っていたんですが、テーマが「木で遊ぶ」ということで、子どもに戻った気持ちでいろいろ考えることができて、面白かったです。今までただ公園に遊びにくるだけの人でしたが、こうしたい、ああしたいっていう当時者意識もだいぶ増した気がしています。

Y.Iさん/ 50代・男性
私は南町田に50年住んでいて、小さい頃から鶴間公園を使っていました。だから、今後の公園の使い方に関心があって参加しました。個別の要求事項っていっぱいありますけど、全員のニーズを満たすのは非常に難しいですね。参加していない人のニーズもあると思うし、その共通化や集約化は今後の課題だと思いました。あとは我々が当事者意識をどこまでもてるのかっていうことですね。

Y.Iさん/ 60代・男性
何度か参加していますが、今日はお子さんをお連れになっている若い人が多かったですね。今、お子さんを鶴間公園で遊ばせたりしている人の意見が聞けたので、勉強になりました。あと、この地域以外からこられていた人もいたので、鶴間公園が幅広い地域の人たちに使われているということがわかりました。

第4回「木と遊びのワークショップ」開催レポート PDF(PDF・1,357KB)
第4回「木と遊びのワークショップ」ご案内チラシ PDF(PDF・1,194KB)

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