南町田拠点創出まちづくりプロジェクトの一環として行われた、全4回の企画づくりワークショップ「鶴間公園のがっこう」。これは、今後再整備される鶴間公園をどのように活用していきたいか、市民をはじめとした参加者でアイデアを考え、実現していこう! と始まったものです。
参加者のみなさんは、6月、7月、9月と3回のワークショップを経て、公園の使い方の発想を学び、実際に新しくなる鶴間公園でどんなことがやりたいかを話し合ってきました。そして興味のある分野ごとに「食」「のんびり」「スポーツ」「工作」「学び」「音楽」という6チームにわかれ、新しくなる鶴間公園を想定したイベントの企画を練りました。これらの企画をワークショップ最終回となる11月4日に「鶴間公園のがっこう祭」として実現しました。
各チームのブースの様子は?
暑いぐらいの快晴に恵まれた当日、さわやか広場では、朝早くから準備が進んでいました。開会直前にはスポーツチームの企画「ラジオ体操」を号令に関係者がさわやか広場に集結。その後「サクソフォンカルテットカプリス」のオープニング演奏からイベントがスタートです。中央につくられた風船の木を中心に、円状に設置された各グループのブースは早々に賑わい始めます。
工作チームの企画は「森のあそび場」。どんぐりやまつぼっくりを使った無料の工作コーナーのほか、木と木の間に吊るした布は誰でも自由にペイントすることができました。ペットボトルに入った絵の具を布に向けて噴射するなど、なかなかできない体験に子どもたちはとても楽しそう。さらにペイントした布は奥の秘密基地ゾーンに運ばれ、自由に遊べるようになっていました。公園の自然を生かした楽しい遊び場は大人気で、工作コーナーは常に満席の大賑わいでした。
のんびりチームの企画は「自然を感じながらおはなしの世界に入ってみよう!」。午前と午後の2回、絵本の読み聞かせを行いました。木でできた手づくりの本台がとてもすてきです。青い空の下、芝生の上でゆったりくつろぎながらの読み聞かせに、みんなリラックスして話に聞き入っていました。ほかにも、シャボン玉を吹いたり、紙飛行機を飛ばしたりと屋外だからこそできる遊びを満喫。新しくなる鶴間公園へメッセージを贈るウィッシュツリーも設置してあり、「一人ひとりがのんびりゆったり思い思いに過ごせる鶴間公園で」「今までの鶴間公園が大好きです。これからも自然と共に、太陽と緑と風を感じながら子育てをしたいです」などさまざまな声が寄せられていました。
食チームの企画は「ゆる〜くなが〜く美味しくたき火」。ドラム缶釜を使ったピザ焼き体験と焼き芋体験ワークショップを実施しました。実際に自分でつくることのできる地元野菜を使ったピザ焼きは大人気。イベント開始早々に予約で定員がいっぱいになり、受付が締め切られたほどでした。焼き芋も、なんと全部で100個焼いたそうです。公園のあちこちで、熱々のピザや焼き芋を頬張る家族連れの姿が見られました。
学びチームの企画は「つるまを知ろう!クイズラリー」と「救済食堂」のふたつ。公園内に設置された鶴間に関するクイズを探して答えるクイズラリーは、誰でも無料で参加でき、先着で景品も用意されているという楽しい企画。広い公園を歩き回って、楽しそうにクイズの答えを考える姿が、たくさん見られました。ほとんどの参加者が全問正解、子どもたちを中心に、なんと187名もの人が参加したそうです。また、実際の防災で役に立つ知識として、周囲の小枝をみんなで拾って火を起こしてみたり、紙パックでお皿をつくってみたり。防災食を食べながらのレクチャーも行われ、こちらもたくさんの人が参加していました。
音楽チームの企画は「森の中の音楽実験」。竹を使ったバンブーチャイムづくりのワークショップに加え、地域にゆかりのあるミュージシャンたちが、会場のあちこちでオムニバス演奏会を開催しました。バンブーチャイムは、竹の部分にマジックで自由に絵を描くことができます。午後には、広場のあちこちで、バンブーチャイムの「カランカラン」という音が鳴り響いていました。ライブ演奏は会場各地でゲリラ的に行われ、カルテットもいれば、チンドン屋も、シンガーソングライターも、和太鼓チームもいるというなんとも楽しい演奏会でした。お客さんも、体を揺らしたり、芝生に座ってのんびり聞いたりと自由に楽しんでいました。
スポーツチームの企画は「公園 de スポーツ」。ユニークだったのはラジオ体操やフォークダンスの時間です。最初は照れていても、やりだすとだんだん楽しくなってくるようで、いつのまにかみんな笑顔に。また、一輪車やフラフープ、縄跳びなどの遊び道具の貸し出しも行いました。地元のインラインスケートチームによるデモンストレーションでは、パイロンの間を滑るスラロームを披露。小学1年生から大人まで、華麗に水道道路を走り抜けていく様子は注目の的となり、多くの人だかりができていました。
参加者の手で、鶴間公園の木を生かす
そのほか、協力ブースとして体力測定を無料で行う南第1高齢者支援センターの「出前そうだん室」、昭和薬科大学の学生が子どもたちに薬の正しい飲み方を教える「青空お薬教室」、地元の人気カフェ「6889cafe」やアイクスクリーム屋さんが出店したカフェコーナー、そして本部には、新しい鶴間公園の紹介コーナーが設置され、スタッフが模型を前にデザイン内容について説明をしました。
さらにもうひとつ。水道道路の端では、早朝から「鶴間公園の木を活かすワークショップ」が開催されていました。これは、公園の整備にあたって伐採することになった樹木を、ただ処分するのではなく、しっかり活かしてほしいという市民の声を受けて始まったものです。
ワークショップ参加者はノミやカンナで木を削ってベンチを作ったり、大鋸(おが)という専用のノコギリを使って、丸太を半分に木挽(こびき)していきます。クスノキのかなり大きな丸太がふたつ用意され、ひとつは講師が巨大チェーンソーで切断の実演をし、もうひとつは参加者みんなで、かわるがわる木挽していきました。とても大きな丸太のため、なかなか最後まで切れません。朝9時から始めて、ようやく挽き切れたのが午後3時ごろ。その瞬間、その場にいた人たちから歓声と大きな拍手が湧き起こりました。
講師の一般社団法人街の木ものづくりネットワークの湧口善之さんから「断面をぜひ触ってみてください」と言われると、みな興味津々で、まだうっすら水分を含んだ断面に触れてみます。「濡れてる!」「すべすべ!」「いい香り!!」と大人も子どもも関係なく、なかなか触れる機会のない、切ったばかりの木の断面を観察していました。
閉会式ではこのワークショップでつくったベンチが紹介され、木挽を手伝った子どもたちがそのベンチに座って感想をひとこと。みな楽しそうで、誇らしげな表情です。自分で切った丸太が、こうしてモノとして生まれ変わる。子どもたちにとっては、とても貴重で心に深く残る体験だったのではないかと思います。
実習の手応えは?
今回のイベントはワークショップの実習を兼ねたイベントだったということで、最後に各グループの代表者が、イベントを終えた感想を話しました。
「20人もきてくれればいいと思っていたのに、朝からずっと満杯で、用意したどんぐりも松ぼっくりもすべてなくなってしまった。思ったよりたくさんの人がきてくれて本当にびっくりした(工作チーム)」「煙とごはんっていいよねとチームのメンバーで確認しあった。また公園で、楽しい料理企画をやりたい(食チーム)」「目標どおりの人数が参加してくれて、防災への関心の高さがわかった(学びチーム)」「食チームのワークショップで焼いた焼き芋を食べながら、みんなでテーブルを囲んでお話していました。とてもいい時間が過ごせました(のんびりチーム)」などさまざまな感想が話されました。
実習とは思えない、本格的かつ大規模なイベントは、当初の予想をはるかに超え、推計で約1,000人もの人が来場されました。
こうしたイベント、あるいはひとつひとつの取り組みが、新しい鶴間公園で実際に、当たり前に繰り広げられるようになったら。そう考えるととてもワクワクしてきます。未来の南町田、そして鶴間公園の姿がどうなっていくのか、ますます期待が高まり、楽しみになった1日でした。