南町田まちづくり通信

「鶴間公園の明日を考えるワークショップ」第5回「コミュニティのワークショップ」を開催しました

寒さの中にも暖かな日差しが降り注いだ12月4日、セミナープラス南町田にて「鶴間公園の明日を考えるワークショップ」5回目となる「コミュニティのワークショップ」が開催されました。新しい公園について市民の方々と一緒に考えようと7月から始まったこのワークショップも最終回。いよいよ「コミュニティ」というソフト面がテーマとなります。賑やかな雰囲気の中、ワークショップがスタートしました。

基本計画案の説明を聞いて疑問点や意見を出す

前半は、ワークショップの全体ファシリテーターを務める神戸大学大学院・工学研究科建築学専攻・特命准教授の福岡孝則さんと同・准教授の槻橋修さんより、前回までのワークショップの報告と、それを踏まえたうえで検討された公園の基本計画案について、発表がありました。

なんと、前回までのワークショップ参加人数は、のべ300人以上にのぼったそうです。いただいた意見は計791件。それらの意見は6つの分類「C:コンセプト F:機能 D:デザイン Fa:施設 P:プログラム M:運営」でまとめ、新しい鶴間公園の基本計画案作成の参考にしたり、実際に計画への反映を行いました。

デザインレビューは第3回のワークショップの際に発表されましたが、さらにその後、詳細に検討され、よりブラッシュアップされた内容になっているそう。みなさん、いったいどんな基本計画になったのかと、興味津々です。

参加者には、基本計画の説明を聞いて気になったことを付箋にメモしてもらいます。それを説明後の休憩中にファシリテーターが回収し、会場後方のホワイトボードに貼って整理。意見については承り、質問については極力その場で町田市と東急電鉄、および基本設計を担当した福岡さんと槻橋さんが答えていくことになりました。

時間を大幅にオーバーしましたが、「疑問を解消するのは大切なことなので、極力多くの質問に答えることを優先しましょう」とファシリテーターさん。

質問はじつに多岐に及んでいました。「樹木の管理の予算は?」「樹木はいつ、どのぐらい切られてしまうの?」「道路の横断が不安なのだけど対策は?」「公園でのワークショップやレクリエーションを市民側からも提案可能なの?」「多目的広場の使い方の想定は?」。あまりにもたくさんの質問の数々に、お答えできなかったこともありましたが、みなさんの関心の高さが伺えました。

みんなで公園を育てるこころみ「神戸市の場合」

後半は「一般社団法人リバブルシティイニシアティブ」代表理事の村上豪英さんのレクチャーです。タイトルは「みんなで公園を育てるこころみ」。村上さんは、兵庫県神戸市の中心部にある東遊園地という公園で、人と人を結ぶアウトドアライブラリーや、様々な主催者によるイベント実施などの社会実験を実践し、成果をあげている方です。

もともと「神戸モトマチ大学」という学びの場を展開していた村上さん。市の中心部にありながら、あまりにも閑散としている東遊園地の様子を見て、これはなんとかしたい、と思いたったのだそうです。そこで行政と交渉し、2週間の間、公園の一部に芝生をひいてみるという社会実験を行いました。すると、目に見えて、利用する人が増えたのだそう。

「私は公園の専門家ではありません。だから都市公園法の流れからすると、ちょっとおかしいことをやっているのかもしれません。じつは行政の人も、最初は「面倒くさいことを言うやつがきたぞ」と思っていたのだと、あとから聞きました(笑)」
しかし、社会実験によって効果を体感した神戸市は、予算を組んで公園を芝生化。現在はパークキッチンやアウトドアライブラリーが設置されているほか、ヨガや勉強会、ファーマーズマーケットまで、多種多彩なイベントも開催されています。
人が集まる仕掛けを依頼したことで、東遊園地はどんどん人があつまる公園になっていきました。

「私は「公園を育てることにどれだけ多くの市民が参加するか」だけをずっと考えてきました。どれだけの人に「公園づくりに関わった」「公園をよくするために何かした」と思ってもらえるかが大切なんです。」

たとえばアウトドアライブラリーでは、市民からひとり1冊限定で本を寄贈してもらいました。それらの本は、公募した36組の本棚オーナーさんが知人友人から集めます。なんとこの本棚オーナーさんは、ボランティアどころか、参加費5000円を払ってオーナーになっているのだそう。

パークキッチンをつくる材料も、手軽にホームセンターなどで購入して済ませるのではなく、多少手間はかかっても山の間伐材などを譲り受けるなどして、ひとりでも多くの人に、公園づくりに参加してもらいました。2016年だけでも300人から400人ほどは関わってくれたのだそうです。

すてきな公園をつくるための3つのヒント

村上さんはすてきな公園をつくるために大切な3つのヒントを共有してくれました。

1. 公園は育てることができる
体験を共有することで意図も共有することができる。公園は市民のチカラで変わる!という自信につながる
2. 愛着は育てることができる
公園のことを「自分ごと」として考える人を増やす
3. 文化は育てることができる
日本人は公園の使い方が欧米の人たちほど上手じゃない。「何をしたらいいのかわからない」という人は意外に多いので、あんな使い方もある、こんな使い方もあると示していくのは大事

「公園を育てることの向こうに文化が育つ」と村上さん。ちょっと視点を切り替えれば、公園がよくなることでまちが変わったり、公園がまちの賑わいを牽引する場にもなりえるのです。公園というものが、これほどの可能性を秘めているものなのかと、ワクワクさせられたお話でした。

いい公園があるとまちの不動産価値が上がる!?

その後の質疑応答では、次から次に手が挙がりました。興味深かったのは「公園が使われていないとまちの価値が下がるとおっしゃったが、まちの価値は何で測ればよいのか?」という質問でした。すると「いい公園があると不動産価値が上がります」ときっぱり断言。村上さんは東遊園地周辺の不動産価格の動向を常にチェックしているそうで、実際に東遊園地が賑わうようになってから、周辺の不動産価値はすぐに上がったのだそう。そうした現実的なまちの価値向上にも公園が寄与するというのは、ユニークな着眼点でした。

本来は村上さんの話を受けて意見交換のグループワークを行う予定でしたが、前半の予定が押したこともあり、急きょ、人の形をした付箋に自分の名前と、この先、公園でやりたい活動を書いてもらうことになりました。それをすべて公園のマップに貼り付けるとじつに壮観。「晴れたらソーラークッキング」「不用品を持ち寄って0円ショップ」「中高年のランチ会」「夏休みに子どもとおばけ遊び」「植物観察会」「子どもと大人の打楽器セッション」「100人ヨガ」「読書会」「ファーマーズマーケット」など、どれもこれもとても楽しそうな未来のビジョンばかりが並び、「全部できそう!」「楽しそう!」といった声も飛び出しました。

公園だけでなく、まち全体が大きくリノベーションされる今回のプロジェクト。なかでも駅から近く、これほどみどりが残されている鶴間公園がどう生まれ変わるのかについては、多くの関心が寄せられていたと感じました。全5回のワークショップ、すべてにご参加いただいた方も大変多かったように思います。このワークショップを通じて、未来へのビジョンや期待も徐々に膨らんできたのではないでしょうか。

「いったいどんな公園になるんだろう?」

改めて、今後の展開が楽しみに感じられた一日でした。

参加者の感想

Y.Gさん/30代・男性
南町田に住んでいて、大学の時に森林環境を学んでいたので、公園がどうなるのかが気になって来ました。都市公園としての機能を考えると、単純に木を残すだけじゃなくて幅広い人たちが活用できるところを目指すべきだと思います。だからどうするんだろうと思っていたのですが、僕は思いのほか、ちゃんと考えてるんだなと思いました。予算のこととか気になる点もありましたけど、この先どうなるのかが楽しみですね。

C.Kさん/40代・女性
知り合いに勧められて初めて参加しました。村上さんのお話もすごく面白かったですし、公園をつくるのも面白ければ、そのあとの活用方法も楽しそうでした。私は幼稚園のお母さんたちのサークルで活動してるんですけど、そのアイデアをいただいた感じですね。森の中でカフェをやったり、ヨガをやったり、いろいろなアイデアがあるんだなと感心しました。

全5回のワークショップを終えて

神戸大学大学院・工学研究科建築学専攻・特命准教授 福岡孝則さん
5回のワークショップを通じて、住民のみなさんが公園づくりに参加してくださるような心の動きが、少しはあったんじゃないかと思っています。市民が参加するワークショップは日本津々浦々で行われていますけれども、本来は計画設計に反映されたら終わりではなく、10年20年関わりながら公園を育てて、その結果まちが良くなり続ける、ということなんだと思います。
基本計画設計というのは器の話です。私たち専門家は、既存の公園の良さやまちの良さを生かして、鶴間公園の魅力をさらに上げる器は考えられるかもしれません。でも、その先の「耕す」とか「育てる」という部分は、器だけじゃできないんですよね。そこには、いろいろな関わり方があるはずなので、来年はもう少し現場で何かやったり、考える機会が持てればなと思っています。

神戸大学大学院・工学研究科建築学専攻・准教授 槻橋修さん
非常にいい流れで終えられたと思います。参加者も、とてもパワフルで元気な方が多かったですよね。今日、村上さんのお話を通して、そのパワーを公園を良くしていく方向に向けてくださった方もたくさんいらっしゃったように感じます。来年以降、実施設計が始まって実際に工事が始まりますが、このワークショップが、「公園をみんなでつくるという文化を育てていく」スタートになったんじゃないかと思いました。

第5回「コミュニティのワークショップ」開催レポート PDF(PDF・1,739KB)
第5回「コミュニティのワークショップ」開催レポート付録(参加者質疑応答)PDF(PDF・407KB)
第5回「コミュニティのワークショップ」開催レポート付録(鶴間公園基本計画図)PDF(PDF・4,624KB)
第5回「コミュニティのワークショップ」ご案内チラシ PDF(PDF・2,647KB)